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ヒイラギの檻
瓜谷修治 著 1998.7. 三五館
統治国家という近代社会では、政策の変更により、ある日を境に、今まで我々の日常に居た人々が、突然許されぬ存在となり社会から締め出され、隔絶されてしまう。対象者はその時点から一般市民として生存する総てを剥奪され、社会からその痕跡を消される。我々はこのような過ちを数限りなく繰り返し、それにより多くの犠牲者を生み出してきた。
ハンセン氏病患者は近代社会において、まさにその端的な例である。統治側による誤策により、ハンセン氏病患者は非人間として差別され、疾病受難以上の悲劇に陥れられてしまった。今もまだ続くその痛ましい状況が、幼少の頃、父と共にらい病施設に強制移住させられた、山下道輔氏の証言を元に詳細に語られている。また何故、ハンセン氏病がこのように長い間、これほど極端な社会的差別にあったかを、綿密な調査から検証している。
戦慄を感じるのは、我々が無意識に持つ傲慢さ、虚栄心、自己満足により差別が生み出され、それが助長されることである。ハンセン氏病での光田、AIDS
での安部として、それが具体像化される。また、らい予防法廃案を遅延させ、あるいはAIDS予防法を成立させた、多くの人々の無関心、無理解、誤認識にも、同じ物が感じられる。
山下氏の人生は、ハンセン氏病という疾病による差別に翻弄されてきた歴史であり、それは決してハンセン氏病そのものによる受難の日々ではない。 我々の社会はかくも残酷であり、また誤りに気付いてもそれを改める柔軟性を持ち合わせていない事実が再認され、深い落胆を感じた。(K.T.)

キリンのキリコ
文 井上由美子 絵 佐藤由美 監修 鈴木 篤
1998.4 構造社出版 \1,200
HIVに感染した男の子が差別を人権を話している絵本です。キリコは、公園で3人の男の子達に仲間外れにされている男の子テルルを見ます。彼は病気を持っているらしく、その為に3人からいじめられてます。
森で妖精に病気のことを説明するテルルですが、キリコは何の病気かわかりません。それで博士にその病気を聞くことになり、「その病気はエイズじゃ。」とエイズに対する正しい知識を博士が話します。テルルも病気に対する気持ちを話します。病気を持っていても、発病してもみんなと遊びたいと。
話を聞いたいじめっ子は素直に「ごめんね」が言えました。その森は入るとみんな素直になる森だそうです。そしてテルルはみんなとたのしくあそびましたとさと言う話。
最後にはHIVの事、この本をどのように使ってHIVを考えて欲しいかまで、書いてあります。小学校の低学年を対象にしている絵本ですが、内容はやや難しく、親が説明しながら読んでやって欲しいと思います。誰もが素直になれる森、そんな場所があちこちにあるといいな、と思ってしまいました。(N,I)

てぃんくる系必勝講座
山口みずか・著 1998.9. 太田出版 \1,300
現役風俗嬢(彼女の場合は、自立したCSWと言ってもいいでしょう)である著者による、風俗業界での働き方を詳細に記した怪著です。
HIV関係の活動をしている者にとっては、「知っておくべきではあるけれども、実はあまりよく知らない」世界である性風俗産業の世界、特に、アノ部屋の中で具体的にどのような事が行われているのかが、身も蓋もなく描いてあります。予防・啓発や相談関係者には必読でしょう。また、山口さん自身の「自分史」としても面白く読めます。(R)

打ち明けてくれてありがとう
武田 淳、戸部 和夫
1998.4.20. 大学教育出版 ¥400
急逝した故武田淳氏がいつも講演で話していた、感染告知からHIVを受け入れるまでの心の旅が書き留められています。あらためて読んでみると、はた目にはいつもダンディを装っていた彼の「心のつらさ」が書かれており、本当にこの病気はつらい病気なんだとあらためて思い知らされました。
この本が出版される直前に入院した彼は「発病したら長く苦しまずポックリあの世へ行こう。」とこの本にも書かれているとおり6月に本当にあっけなく逝ってしまいました。この本はある大学で彼が若い人たちに話したこと、そしてそれに対する彼らの感想から成り立っています。最期までこのようにHIV/AIDSに対する理解を広める活動を続けてきた彼に心より敬意を表します。さようなら武田さん。安らかに眠ってください。(P)
連絡先:エイズ教育研究会 TEL 086-251-7213, FAX
086-251-7222

エイズとソーシャルワーク
小西加保留編集代表 HIVとソーシャルワーク研究会編集
1997.8.中央法規出版 ¥2,500
「ソーシャルワーカーは人々が社会生活を円滑に営むことが出来るように、個人と社会の両方を視野に入れて援助を行う専門家である。」そのためにはカウンセリングの手法が不可欠であるし、一方社会資源の活用について熟知していなければならない。
日本ではまだあまり多くの病院に配属されていないのですが、この本を読んでいくうちに、エイズのような社会的な問題との関連を避けられない疾患では、コメディカルのひとつとしての重要性がひしひしと伝わってきました。
随所にボランティアとの連携について出てきますが、いま私たちが取りかかっていることの多くが本来は専門のソーシャルワーカーやカウンセラーの行うべき仕事であり、ソーシャルワーカーやカウンセラーが社会的に整備&127されていないからこそ、我々がボランティアとしてそれを少しだけ補っているのではないだろうかと考えさせられました。我々の力量のなさを切実に感じる一方で、国内においてこれほど豊富な具体例を示した本はこれまでにありません。AIDSボランティア必読の一冊です。(P)

HIVマニュアル The
HIV Manual
D.H.S.Spach & T.M.Hooton著 矢野邦夫監訳
日本医学館 1997.4 ¥8,400
あらゆる医療スタッフがHIVに感染した人々に効果ある治療を提供できるよう、臨床的に重要な最新情報を実践的にまとめたものです。基本事項、症状別のアプローチ、合併感染症、臓器別アプローチ、薬剤といった具合に多角的にまとめられているので、何かあればすぐに調べられるようになっています。(P)

エイズ患者診ます 開業医が歩んだ長い道
西村有史著 青木書店 1997.9 ¥1,400
当会でも講演会等、何かとお世話になっている「HIVとつきあう開業医の会」代表の西村医師が「自分が何故HIVと関わるようになったか」を正直に綴ったいわば「告白本」。
2人のエイズ患者が彼に大きな影響を与えました。その一人がかの故草伏村雄氏だったのです。医師としての彼が、薬害の加害者側という立場を認めた上でどのように関わってきたのか、医療者の立場から薬害根絶を訴えた異色の本です。
医学生としては不真面目だった学生時代の左翼系の活動、卒業後にいつのまにか痴呆の治療薬「ハポテ」で薬害の加害者になったこと、アフリカでの経験、草伏村雄氏との出会い・・・と自分に正直に歩んできた結果が「HIVとつきあう開業医の会」の設立へと自然につながっていく。
医療者の立場からHIVにかかわるさまざまな問題にどう関わっていくべきか、地域医療はどうあるべきかなど、臨床医が本音で語りかけ共感を得ます。(P)

奇跡の生還 Working on a
Miracle
マーロン・ジョンソン著 永井明訳
ソニーマガジンズ 1997.7 ¥2,000
1992年に病理解剖中に過ってメスを刺してしまい、HIVに感染してしまった医者の現在進行形の闘病記。まだプロテアーゼ阻害剤が開発される前にIL-2(インターロイキン2)、AZT,DDIの併用で血液中から検出可能なHIVを消失させ、300程度だったCD4をなんと1200まで上げたという彼は、長期的にはまだ「誰も分からない」としながらも少なくとも現在まで連戦連勝を続けているのです。
もともと癌の治療薬で免疫細胞を賦活させるIL-2は副作用が非常に強く長期的な効果は全く不明。その後のプロテアーゼ阻害剤の普及であまり知られず、アメリカでも実験的な治療法のようですが、彼の場合HIVが検出されない状態が1年以上も続いているのです。また92年以降に出てきたさまざまなHIV治療薬に期待するPWHの様子や、アメリカにおける治験の様子など大変興味深いものがありました。
さらに感染してしまった者の微妙な心の動き、アメリカでもしっかりと差別やへ偏見があるという現実、他の感染者やボランティアとの交流などなど、きめ細やかに記述されています。
以前に当ニュースレターでも紹介した「いくつもの朝を迎えて」と同様、積極的に新しい治療法に取り組む当事者たちの勇気ある戦いなのです(そういえばこの2冊雰囲気がとても似ている)。患者や家族たちが、良く言えば医者に頼らず、悪く言えば医者の言うことを無視して「もっといい治療法が絶対にあるはずだ!」と自ら治療法を探求するポジティブな姿勢はアメリカのフロンティア精神をかいま見させてくれます。
エイズではありませんが「誤診」「ロレンツオのオイル」などのアメリカ映画で紹介された、治療法を探して戦う難病患者の姿は我々に勇気と希望を与えてくれます。映画といえばこの本もハリウッドでの映画化が決定したとか・・。(P)

死の距離
「病/エイズ」をめぐる経験
山下柚美 著 エージー出版 1996.12
\1,600
HIV関係のNGOを長くやっていると、感染している人もしていない人も含めて、多くの人と知り合うようになります。たくさんの出会いの中で、「おおっ、スゲエ人だ」とか「この人好きだナ」と感じることもあれば、「ちょっとヘン」「どうも好かん」と思うこともあります。
それは単に好き嫌いの問題ではなく、どこかに何かの違いがあるのではないかと思っていたのですが…。
この本は著者と感染者との出会いと交流を記録したものです。著者は彼らのことを「越境者」という言葉で表現しています。決められた「役割/制度」を超えてその人固有の生の様式を求め、展開しようとする人達。彼らと共にいる時の疾走感と快楽…。
「人と人との対等な関係」というものについて、多くの示唆を含む一冊です。(R)

カイワレはこうして犯人にされた!
藤原一枝 著 悠飛社 1997.6 \1,600
HIV関連の本ではありません。あのo-157感染の、カイワレ犯人騒動について、冷静に再検討を加え、厚生省の調査・報告のずさんさをあぶり出し、学校給食の持つ構造的問題点にまで言及した一冊です。
特に、今回厚生省が確実な証拠もなしに疑わしい食材の公表に踏み切った経緯と、それに対して朝日新聞社説が「厚生省は、『情報独占が薬害エイズを拡大させた』という反省に立って」と評価し、「一歩前進」とした部分には頭が割れそうになりました。
我が国の人達というのは、あらゆる論理を、弱者にしわよせさせる形でしか使おうとしないのでしようか。(R)

よくわかるエイズ関連用語集Ver.1
厚生省:エイズの医療体制のありかたに関する研究班 中国四国ブロックエイズ中核病院グループ 代表:高田昇 事務局 広島大学医学部付属病院輸血部 1997.3.30 非売品
残念ながら非売品ですが、広島の高田先生らが以前からパソコン通信を通して作成していた「エイズ関連用語集」がまとまりました。(P)

砂の城 ーHIV感染者からー
山崎 研太郎 著 株式会社みづほ 1996年12月 ¥1,000
この本は、一人のHIV感染者が看護専門雑誌「エキスパート・ナース」に約三年間に渡り掲載したエッセイをまとめたものです。
山崎研太郎さんは1995年12月に他界されましたが、その後ご家族が自費出版されました。
HIV抗体検査陽性と言われてから、自分の身体のこと、病院のこと、入院中の生活のこと、自分自身のこと、ボランティアのこと さまざまなテーマで山崎さんが、経験されたことや、感じたことがそのまま率直に書き綴られています。
私は投稿された雑誌の中で、彼の文章に出会いました。毎月の彼の話を楽しみにして読んでは、うなづいたり、ドキっとしたり、嬉しくなったり、悲しくなったり、私の中にもさまざまな思いや考えが出てきました。私の個人的なものですが、そのままの彼の話に惹かれました。あるとき、突然に終わってしまい、私は混乱しました。しばらくして、彼が他界されたことを知り、とても悲しくなりました。
そして、この本ができ上がりました。彼の中のほんの一部かもしれないけれど、この本の中で彼に出会うことができると私は思っています。
思い入れの強い私の話になってしまいましたが、私がそう思うので伝えたい。この本で山崎研太郎さんに出会ってみませんか?
彼と話をしてみませんか?
購入方法郵便振替 00210-6-23131 日下部章子(くさかべあきこ)送料込み \1,000
問合せ E-mail:cranberry_55@anet.ne.jp

魂の旅 JOURNEY OF THE SOUL エイズに逝った女性精神科医の手記
佐伯宣子、エンリコ・モンテレオーネ著 1996年 中央公論社 ¥1,300
HIV感染、AIDS発病、それによる人生の終焉の約3年の間、日本人女性の精神科医が辿った精神的揺らぎ、AIDSの病状進行による過酷な肉体的精神的苦悩、しかしその時認め感じた多くの人の愛、それらが綿密に綴られた主人公の手記を基に編集された一冊です。
元の手記は1年ほど前に突然日本の雑誌に掲載され話題になりました。アメリカ転居後にHIV感染の事実を知った彼女は精神的に混乱し不安定な状況にあることが文章から理解されます。しかしその状況下でも、精神科医であるこの日本人女性は自己精神分析により自分自身の心を理解しコントロールしようと努めるのですが、やはり現存する事実を直視することがいかに困難な作業であるかが見て取れ、無意識に”死”という受入れがたい現実を避けているように感じられます。
しかし多くの人々に愛された彼女は、その愛情に満ちた人々の援助により試行錯誤を繰り返しながら自分なりに残りの時間を前向きに生きる。
最終章では、愛しい妻を失った夫がこの手記を結ぶかのごとく妻の病状末期状態とその死別を淡々と綴っており、そこに失う者の側の悲哀が感じられます。実に多くのテーマがこの話には含まれています。(T)

薬害エイズを生きる 帝京大病院血友病患者島田照国の記録
西野瑠美子 1996.11 明石書店 ¥1,600
『和解』成立後の第九次訴訟で提訴し、妻や子ら家族四人で実名公表(カミングアウト)した島田さん一家の記録です。
HIVの問題を抜きにしても波乱に満ちた「生い立ち」の話からはじまり、入院、告知、訴訟、そして公表に至る流れが書かれています。現在は、自分の職場にもカミングアウトし、妻のサポートで妻の職場や隣近所にもカミングアウトして「自然に、当たり前に生きる」ことを実践中。また、昨年秋頃までの資料や情報に基づいた薬害問題が解説され、「気さくなオッサン」だという印象を持たれていた安部英医師が次第に変節していく様子なども描かれており、密度の濃い一冊になっています。(R)

男女交際ってなんだろう
池上千寿子 1993.3 大修館書店 ¥1,200
以前にこの欄で紹介した「性ってなんだろう」の続編にあたる本です。日米の両方で生活してきた経験から、主に学校を通して、「子どもが大人にいじくりまわされている」感じを受ける日本と、「生まれっぱなしで、ほったらかしにされている」感じを受けるアメリカの文化の違いを描き出し、「その中間あたりに、もうちょっといごこちのよい状態があってもよいのではなかろうかと、思うのです。」という筆者の主張には…ずっと日本で生活している私でも、思わずうんうんとうなずいてしまうものがあります。差別、性、HIVの話題にも触れてあります。(R)

生きぬいて愛したい
草伏村生 著、不知火書房、1996年 \1,854
草伏さんが、ここ数年「月刊アドバンス大分」「西日本新聞」に 連載したエッセイを中心に、衆議院での陳述「恒久対策のあり方に
ついての要望」と今年になってからの近況を加えた本です。
文章の はしばしから、草伏さんの人柄がにじみ出てきます。読みながら、 何度も何度も本の冒頭にあるモノクロの草伏さんの写真を眺め返し
ました。その澄んだ眼差しと暖かい笑顔に、読んでいる自分の心ま でもがなごみ励まされていくのがわかりました。多くの人に読んで
もらいたいと思っています。
…この書評を書いてひと月も経たないある日、草伏さんの訃報が飛び込んできました。草伏さんは、感染者の方だけでなく、感染者のサポート活動をする者にとっても、心の支えでした。ご冥福をお祈りいたします。(R)

いくつもの朝を迎えて エイズと闘うゲイ青年の闘い
ポール・A・サージョス著 公庄さつき訳 1993年 DHC ¥1,900
「どれくらい時間がたったのかもわからなかった。が、ある朝ふと、頬に太陽の温もりを感じ、カーテンの隙間から入ってきた風が体をそっと撫でていくのに気づいた。何ということだ。僕が悲劇の主人公気取りで閉じこもっているときにも、外では世界が回り続けているのだ。手に入れたいものがあるのなら、待っていてもだめだ。ぼくは起きてシャワーを浴び、生きるという仕事にとりかかった。」(原文より)
1983年1月GRID(Gay Related Immune Deficiency,当時ロスでAIDSはこう呼ばれていた)に罹った著者が必死になって治療法を探し求めるドキュメント。ありとあらゆる「非合法」の治療法が登場する。
日本とは医薬品に関する法律も異なるが、自分の治療に使う分は3カ月分までなら、認可されていない薬品でも、開発国で認められてさえいれば自由に輸入できる。そしてこの法律だってPWAが自ら勝ち取った制度なのであった。さすが自由の国である。PWAやボランティアは臨床治験ですら自ら計画実行していく。アメリカ人ならではのフロンティア精神がみなぎっていてなんだか励まされてしまう。(P)
本書に登場する薬品や治療法(1984〜1990)リバヴィリン(ヴィロナ)、イソプリノシン、スラミン、イムチオール、アシクロヴィル、硫酸デキストラン、AL721、ジニトロクロロベンゼン、AZT、ddC、ヘイライド(ルイーズ・ヘイのワークショップ)、スピラマイシン、トリメトレキセート、ペプチドT、アンプリゲン、ddI、オゾン療法、腸チフス・ワクチン、イスカドール、サイモシン、ハイペリシン、GLQ223、トリコサンシン、リファブチン(アンサマイシン)、フルコナゾール、ペンタミジン、ガンシクロヴィル、HPMPC、リンパ球培養法、フォトフォレシス(8-MOP)、イモディピン

エイズワーカーのための文芸時評
最近、人気作家と呼ばれる作家の書く小説の中には、エイズ、(ウイルス)を取り
上げた小説が結構あります。というわけで、そんな中から独断で選んだ作品を取り上
げてみます。
吉本ばななの「SLY」(幻冬舎刊)は、主人公(清瀬)と喬は元恋人同士、喬と
日出雄も元恋人同士(つまり喬はバイセクシャル)。喬がHIVポジティブという結
果が出て二人は検査を受けるが、結果を知る前に三人でエジプトへ旅立ちます。途中
「霊界オタク」と呼ばれるユキコと出会い、ピラミッドなど壮大な遺跡に生と死のド
ラマを目の当たりにして、心が癒されていきます。“どう考えてもこれから先の日々
は楽しくてしかたないことの方が少ないだろう。でも、どうにかなる。きっと私たち
は死に向かって歩いているというより、死をも含む未知の世界に向かっているんだ。
”そんな癒しに満ちた世界が伝わってくる作品です。
山田詠美の大作書き下ろし「アニマル・ロジック」(新潮社刊)は、ニューヨーク
に住む不思議な魅力を持つ黒人女性ヤスミンの物語。ヤスミンの血液の中に生息する
意識を持つ存在が、様々な人種の人々を分析していく。エイズで死んでいく人たちを
見送っている日常の中、自分の価値に忠実に、なにものにもとらわれず生きていこう
とするヤスミンの姿に新しい女性像、新しい人間関係を描き出しています。
村上龍の「ヒュウガウィルス」(幻冬舎刊)は、時空がずれた現実とは別の戦後世 界を描いた「五分後の世界」の第二部。ヒュウガ村(宮崎県らしい)から突然現れた
新種のエボラ系ウィルスは、近隣の「ビッグバン」といわれる高級療養所地帯に感染
が拡大している。
患者は全身から血を流しながら、手足の関節が折れ曲がる症状のた め、まるで不気味なダンスを踊っているような発作に襲われ、信じ難い致死率で死亡 していく。兵士とアメリカ人女性カメラマン、コウリーがヒュウガ村へと向かう途中 の戦闘シーンや異様な旧四国の光景に圧倒されながら読み進むと、最後の方で数少な い生存者である少年の告白が心に残ります。
この少年はまもなく失明するという状況 の中で、美しいと感じるものを映像にして脳裏に刻むことで、圧倒的な危機感をエネ
ルギーに変える訓練を日常的に続けてきました。それが免疫系に影響を与えた、とい
う内容ですが、ウィルスや免疫など生物学の領域についての著者の勉強の仕方はまる
で「熊が水を飲む」よう(!)。専門家からの生物学的批判はあっても、この小説の持
つ力に作家の狂気を感じました。
同じ村上龍の「メランコリア」(集英社刊)の中にも末期エイズ患者(アメリカ人
)の印象的な告白シーンが描かれています。この作品は、ホームレスの謎の男ヤザキ
が異常に長い独白をするというそれだけの話で、全然明るい内容ではないのに何故か
元気になる(のは私だけ?)という不思議な小説です。
「寝不足はお肌の大敵」とわかっているのにやめられない秋の夜長…でした。(Y.I.)

いま、何を、どう伝えるか
岩室紳也 1996.5 大修館書店 ¥1,236
さて、コンドームの達人として有名な神奈川県の保健所医師であり泌尿器科医の岩室先生の登場です。
この本はどちらかというとエイズ教育に携わる者向けに書かれており「本当に大切なこと」をどのように伝えればよいか、その為のヒントが全編にちりばめられています。長年エイズ教育に携わり、多くのPWH/Aやヴォランティア達とのつき合いの中からごく自然に生まれてきた本当の意味での「知恵」がひしひしと伝わってきます。
具体的にはSEXに関する部分が多いのですが、薬害や人権問題にもこれまでにない観点から触れ、彼自身が、人を人として認めることを「エイズ」から学んだと述べています。私も何度かお会いしましたが、別にエイズじゃなくても「すべての人は必ず死ぬんだ」という当たり前の事だけど、多くの人が無視している事、これが彼の生き方の根底にあり、「毎日一回は自分の死を想像する」とおっしゃっていました。
エイズのことを話したりする機会が有る方には是非読んで頂きたいのですが、エイズの事はひととおり学んだけど「何かしっくりこない、どうしても偏見や恐怖が払拭出来ない」と言う方に絶対お薦めしちゃいます。
世界的にも珍しい!?コンドーム教育用「包茎ペニス模型の作り方」も載っていますし、エイズ教育者(?)や性教育者は必ず読みましょう、ネ。(P)

なぜチンパンジーはエイズにならないか
土居洋文著 1993.10 岩波科学ライブラリー ¥1,000
チンパンジーはエイズにかからないそうです。エイズウイルスのくっつくCD4のアミノ酸の種類はヒトとチンパンジーでは5つしか違わないのですが、そのうちの1つの違いによって、ヒトはエイズを発症し、チンパンジーはしないのです。また、ヒトにHIVが感染すると、T細胞もマクロファージもウイルスにやっつけられてしまうのに、チンパンジーではHIVはマクロファージに感染しないところにも重大な意味が隠されていそう、、、。
わかりやすーく書いてある割には、密かに感染のしくみから、アポトーシスまで扱っています。ただ、図が漫画チックなので、エイズウイルスに手がうようよ生えていたり、ハンバーガーが突き刺さっているのは妙ですけど、、。
この本には「HIVと共同作用する要因をうまく取り除けば発症しないですむ可能性がある。」という著者の思いが流れています。そして、ヒトに近いチンパンジーがエイズにかからない原因を探ることで、HIVと共生、つまり感染しても長生きして発病しないでいられるかもしれない、という希望を提供してくれるようです。(スナフ)

院内感染 富家恵海子 河出書房新社 ¥1,600
食道に出来た静脈瘤をとる手術のために入院・・・・しかし、多剤耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染し、52歳で死亡した夫。
「なぜ?」「どうして・・」と、夫の死に原因を調べていくうちに、それまでに気付きもしなかった医療の抱える問題点を知ることになる。
海外の医療の現状にも触れ、「医療とは何か」「誰のための医療か?」をもういちど考えさせられる一冊です。 また、MRAS対策で重要なのは「予防」・・・・しかし、この「予防」がおざなりにされているため、今もMRSAがあちこちで発生しています。このことは、エイズに関してもいえる事で、そういった意味でもぜひ読んでほしい本です。(エッグ)

「エイズを100倍楽しく生きる」
大貫 武と12人の共同作業
径書房 \2,060
“エイズになったからって…おちこんでばかりはいられない。…CD4が「1」…とにかく僕は病人らしい病人になるのが一番いやなんです。
どうせなるならかっこいい病人になりたい” そんな大貫武氏とTVディレクター、ミュージシャン(小山卓治)、医師
学生、小泉今日子、増田明美、たんべ(H.I.Voice)さん達とのステキな対話がぎっしりつまっています。
個人的には、ほんとうに待ってました の一冊です。H.I.Voiceの愛読者には、アルファーさんといえば知らない人はいないというほどの有名人です。メチャ、ポジティブでアグレッシブな発言に、ハラハラ、ドキドキしながらも嬉しくなっているのは、私だけではないと思います。そして、アルファーさんと衝撃的な出会い・(実際にはお会いした訳ではないんですけど)たまたまTVをつけたら「悪魔のささやき」でエイズビンボーってやってて、あーっ、この人、きっとアルファーさんだ」って思ったんです。
その後、興奮して、ボランティアの仲間にアルファーさんがTVに出ていたと話をした私でした。
そんなミーハーなアルファーさんファンの私ですが、この本はオススメです。
消費税込み2,060円。アルファーさんのエネルギーを感じて下さい。(S)

せかんどかみんぐあうと 大石敏寛 著 朝日出版社 \1,500
明るくて、人なつっこくて、前向きで…大石さんの講演を聴くと、いつもそんな印 象を受けます。そんな彼の人柄がそのまま文章になったような本です。平易な言葉で 淡々と綴られていますが、その文章の中からは力強い意志と迷いながらも自分ならで はの道筋を探して生きてきた様子が浮かび上がってきます。
彼の自分史であり、同時 に彼を取り巻く仲間達の記録でもあるのです。 また、末尾「付章」の中の『エイズ対策について』という一文は、必見。「夢」
「希望」「現実」の三つをキーワードにした日本社会の現状の的確で鋭い描写は圧巻
です。(R)

書評:(まとめて3冊!!)
性ってなんだろう 池上千寿子 著 大修館書店
エイズとともに生きる 南 定四郎
著 ポプラ社
エイズを100倍楽しく生きる (前述)
大石さんの著書もそうですが、上記の3冊も必読の書です。全部に共通しているの
は、平易な言葉で語られる文章の中に著者の『自分史』が織り込まれており、それが
その本の魅力になっていることです。
エイズに関する活動をしている人は誰しも、振り返ってみれば、自分自身がどうい う経緯でエイズに関心を持つようになり、現在に至っているのか…そういう意味の 『自分史』を持っているものでしょう。エイズを取りまく状況はますます混沌として きています。今一度、自分の置かれている場所を確認し、これからどう進んでいくの かを考える一助にしてはどうでしょうか。(R)

原告番号十二番 エイズ・血友病と闘った四十一年間
吉松満秀著 葦書房 ¥1,500
鹿児島県の吉松さんの生い立ちから94年5月に亡くなるまでの手記をまとめた一冊。クリスチャンの彼が、血液製剤による感染がわかったのは結婚2年目の86年。そして「その後」子どもを授かり、その子のために実名の手記を本にすることにしました。
当初は医療機関で差別を受けたり、自分が感染していることが職場に知れたら、家族までもが偏見の目にさらされてしまうのではないか、と不安な日々を送りました。しかし、さまざまな問題に立ち向かいつつ、持ち前の明るさで周囲に「仲間」を増殖させていきました。
そしてついには「差別を無くすために自分が宣教師になろう」という風に、意識が変わっていきました。妻の由美子さん(彼女自信も身体に障害があります)は夫が亡くなった後になって、「どうして今さら実名を出さなければならないの?」と自問しました。そしてその結果、「わが子にはどんなことがあっても、エイズや社会と闘ってきた父親を、誇りに思ってほしい」と実名での出版を決めたのです。
また、原告のプライバシー保護のため、著者が原告番号十二番として加わったHIV大阪訴訟の主張尋問や日記なども掲載されています。94年の5月に亡くなるまでHIVと闘い続けた著者の心中が生々しく伝わってきます。テレビでも放映されたのでご覧になった方はご存じかと思いますが、本人、由美子さん、お子さんまで一家全員で堂々と出演しています(ご覧になりたい方はビデオお貸しします)。この本を読んだ人の数だけの差別偏見が少なくなることを祈ります。(P)

KYOKO キョウコ 村上龍著 集英社 ¥1,400
幼い頃ダンスを習ったキューバ出身の在日米軍人を、21歳になったキョウコがニューヨークまで捜しに行く。やっとの思いで見つけたら、エイズ。ヴォランテイアの世話で何とか生きてるが、状態も悪くキョウコのことなど覚えていない。そんな彼をマイアミの母親のところまで連れて行く・・・。
と、ストーリーは大変シンプルですが、各章毎に語り部がころころ変わったり、カタカナやスラングがやたらたくさん出てくる軽妙(?個人的には好きじゃない)なタッチで、遅読の私ですら一気に2日で読んでしまいました(私の周囲の人はみんな数時間で読んだって)。
売れ線を狙ったエイズ小説と思って気軽に読み始めたら、おっとどっこい、題材はエイズでもモチーフは「いかに生きるか」。主人公キョウコに出会う人々が彼女の中に「何か」を見いだすように、読者が自分の置かれた「閉塞的な状況を解放」していく「勇気」を与えてくれる(著者曰く「勇気を得てほしい」)不思議な一冊です。
春には映画化されるとのことですが、監督が村上龍本人と聞いてちょっとでも不安になるなら、その前に原作をお薦めします。(P)

コンドーム・ヴァージンズ
伊奈早苗+小野依美佳著マガジンハウス ¥1,200
20代の女性の、エイズとコンドームに関わる意識調査と言ってよい内容の本です。堅苦しい「HIV
関連書」ではまるでなく、’64と’65年生まれの著者がインタビューとふたりのおしゃべりで訴える事は、
「コンドーム・ヴァージン」と名付ける、コンドームをアンタチャブルなものと考える女性に、もっと性、
ひいては生きると言う事を主体的に考えようよという呼びかけとなっています。(よっちゃん)

あんたらなにビビッてんの 当たって、砕けて、磨かれる
TAMAYO著 クレスト社 ¥1,400
ご存じアメリカで成功したコメディアン、大槻珠代の体当り一代記(まだ若いけど)です。その中で、患者、
感染者が、ごく普通に隣人として存在するアメリカで生きる型破りの日本人の女性が、四度の抗体検査を受
けたりした経験を赤裸々に述べています。彼女ならではのブラックユーモアでもって切実に。
「とうとうエイズに!?」
麻薬も多いけど、アメリカじゃ、エイズで死ぬのも人ごとじゃあない。「あの人、エイズで亡くなったん ですって」「いや、私の友達もこの前エイズで・・・」「じつは、私もエイズなんですよ、ハハ」なんてい う会話が、平気で飛び交いはじめた。素晴しいことだ。
今まで4回、私はエイズ検査受けているけど、最初のときは本当に怖かった。カンペキにエイズにかかっ
たと思い込んだ。
ある日、ふと自分の脚を見ると、ひざから足首にかけてあざみたいのができていて、どす黒くザラザラに
ただれている。しかも片方だけじゃなくて、両方同じように・・・。針の先生やってる友達に言うたら、「そ
れエイズじゃないの?エイズになると、そんなふうに皮膚が荒れるんだよ」って言った。その瞬間、ショッ
クでお腹がグルグルいって、下痢になった。そんだけ、ビビッた。
医者へ行こうか、知らんふりしよか、何も知らずに死んでやれ・・・。嫌いなやつにうつしてやろうか? 一週間いろいろ考えた。でも、やっぱ行こうと思い立ち、とうとう検査を受けにいった。 結果は一週間後と言われて、その一週間の長かったこと。一週間後に、胸に聖書を抱いて結果を取りにい った。「神さま、この一回だけお願いを聞いてください。もういらん男と一発したりしません。だから、私 の人生ここで終わらさないで・・・。」って、また、困ったときの神頼みをやってた。これがまた効くんだ。
結果はシロやった。 ドワーット安心したはずみで、その一週間後にはまた別の男と一発やってた。当時、私は、両足に五ポンドの錘りをつけて歩いていたのよ。トップレス・ダンサーやってたときに、足 がきれいと言われて、何とか維持せなアカンと筋肉をつけるために。その錘りをつけてたところが蒸れて、 あせもになって脚がただれてたってわけ。わかったとたん、ほんまにアホらしゅうなった。錘りもやめても た。足が軽くなった。
私の男友だちたちは、周りの怖い状況を見て、みんなコンドームをつけ出した。SEXのときだけやなくて、
朝起きたらすぐ、つけとくみたい(冗談、冗談)。でも、私はこれは腹くくらなあかんことだなと思っている。考えに考えたうえでの本気の恋愛であれ、そのときだけの錯覚であれ、その人からもらったエイズで死ぬのはしゃあない。だって、そう思えへんヤツと
したって、おもろくないやん。この人のエイズやったらうつってもしゃあないと思える人とだけやればいい。
その覚悟で、やるか、やらんかは自分で決めればいいんだと思った。(もちろんこれは誤った考え、真似な
いように)。
でも今、大都会のゲイたちは、みな私と同じ考えで、コンドームをつけずにセックスをすることがふつう
になってきている、ということを最近、アメリカの真面目なニュースで言っていた。ドッヒャーン。(以上原文どうり)
著作権侵害かと訴えられそうですが、さきの「コンドーム・ヴァージンズ」と併せて論議のタネを提供して
くれそう。ちなみに、買わずに公共図書館を利用されたい方(私めのように)のために。「コンドーム・・」
はアミカス図書室、県立図書館などに、TAMAYOの本は博多区市民図書館などにあります。(よっちゃん)

エイズウイルスとの闘い 治療法開発の現状と未来
岡本 尚、畑 明、岡田 新 著 講談社ブルーバックス ¥740
前半では、エイズとエイズウイルスに関する基礎的な解説が書かれています。新しい治療法について理解 するのに必要な内容に絞ってわかりやすく記述されており、基礎知識の再整理にも役立つでしょう。
後半は、 各種抗HIV剤の開発、治療、投与法、課題、そして遺伝子治療についての概説で、HIV感染症治療の流
れがきちんと把握できるようになっています。エイズに関する情報は日々アップデートされており、それに
遅れないようについていくだけでも多大な労力が必要となります。あふれる情報を効果的に選択していくの
は至難の技ですが、この本は有力な一助となることでしょう。(Yo)

薬害エイズ 原告からの手紙
東京HIV訴訟原告団 著 三省堂
薬害エイズの被害を受けた被害者、遺族、家族などの東京HIV訴訟の原告団一人一人が、それぞれ自由な対象に向かって「手紙」という形で自分の思いをしたためたものです。
70通に及ぶその手紙は被害者たちが今までは心の中にためていたもので、愛する人たちにあてた遺書や亡くなった友の敵討ちを誓ったものなどがあり、その中に怒り、悲しみ、つらさ、苦しみなどがあふれています。
私は、涙があふれハンカチでは足りずタオルを片手になんとかこの本を読み終えました。一体どうしたらこの人たちの気持ちが癒されるのだろうということが頭の中に廻っています。エイズという言葉は知っていても「薬害エイズ」ということをどれだけの人が知っているのでしょうか。実際に何が行われたのか、そして、これらにかかわった人たちの声をもっともっと多くの人に知ってもらうことが大切なことだと感じます。
読み手の方が、ときには苦しい気持ちになるかもしれませんが、ぜひ一度目を通してほしい一冊です。なおこの本の印税の相当の部分は支える会の活動資金となるそうです。 Junko

知っていますか?エイズと人権Q&A
屋鋪恭一著
解放出版社 ¥1,030
HIVと人権情報センター代表の屋鋪恭一が、エイズと人権について高校生向けにやさしく解説しています。
予防法、診療拒否、無断検査などエイズ問題を考える入門書として最適の一冊です。

エイズ!アメリカの戦い 〜日本はなにを学ぶべきか〜
マサミ・コバヤシ・ウイズナー著 TBSブリタニカ
¥1,800
サンフランシスコ在住の著者は、古くからのセンターの会員でもあり、力強い協力者でもあります。”エイズとの共生”が意味するものは何なのかが厳しく具体的に捉えられた、質の高い仕上がりになっています。AWFお薦めの一冊です。

エイズ病棟 林素子著 講談社 ¥1,500
映画で有名になったアメリカのフィラデルフィアで、日本ではまだあまり聞き慣れない病院ソーシャルワーカーとしての経験をベースに書かれたHIV
医療にかかわる人にとって参考となる一冊です。
医者や 看護婦だけでなくカウンセラー、ソーシャルワーカー、民間のボランテイア等がチームを組んでHIV患者・感染者に対応しており、それぞれが連携をとりつつも独立し、対等の立場で医療チームが組まれていることがよくわかります。
前半は体験を軸に基本的な知識をおさらいしつつ、日本ではあまり言及されてない専門的な情報も体験談と並行し、たいへん読みやすく書かれています。後半は院内感染に焦点が絞られ、特に日本ではまだおもてだって議論されていない「医療従事者がキャリアである場合」について述べられています。「患者の知る権利」と「医療従事者の働く権利」について、事例や判例、行政やアメリカ防疫センター(CDC)のガイドライン、上院で可決され下院で否決された法律など多くの情報を元に極力主観を排して客観的な立場から淡々と論ぜられており、現在この方面では最も詳しい一冊でしょう。(P)

H.I.VOICE H.I.VOICE編集局
感染者と非感染者が互いに理解を深めることを目的とした声のフォーラムとして毎月発行されている通信誌です。
口座番号:00190-2-612876
加入者命:H.I.VOICE編集局
年間購読料:¥1,800(年間/12号分・送料込み)

あと少し生きてみたい 平田 豊 著 集英社
国内で初めてHIV感染の宣言をした著者のエッセイと短編集。

同性愛者たち 井田真木子 著 文芸春秋社
同性愛者である7人の若者の素顔と青春像を描いたノンフィクション。エイズを通して日本の社会的認識の問題も表出されている。

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